093526 ランダム
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目指せ!シナリオライター

目指せ!シナリオライター

続き

サッカー部グラウンド
二人、羨ましそうにソフトボール部を見つめている。
恵の表情を伺う美加。
それに気づき、草刈りを続ける恵。
いつもより、草刈りをする手に力が入る恵。
美加「恵・・・。」
哲子「あらー、今日は、真剣にやってるのね。心を入れ替えたのかしら。」
無視して続ける二人。
哲子「ふん・・・。」

理科室(中)
長松「あいつら・・・。」

明日に迫っている練習試合

サッカー部グラウンド(放課後)
相変わらず、草刈りの恵と美加。
連日の草刈りで日焼けしている二人。

ソフトボール部の練習風景が流れる。
ランニング。
柔軟体操。
キャッチボール。
ノック。
バッティング練習。
様々な風景が映し出される。
相も変わらず守備練習もうまくなっていない。
幸子も明るい笑顔で、一所懸命、練習している。
みな、生き生きとプレーしている。

練習を覗いている校長。
楽しそうに眺めている。

幸子「校長先生、何か楽しそうだね。」
秀美「うちらが、負けるって絶対決め付けているんだから。期待を裏切ってやろうよ。」
典子「うん。そうだよ。みんな、練習試合で勝ってはずみをつけようよ。」
三人、校長の方を見ながら話をしている。

練習試合前日、練習終了後
ソフトボール部グラウンド
和代「どうする?明日。レフトとライト。二人、多分来ないよ。ここ数日、サッカー部の練習にも出ていないみたいだし・・・。」
圭子「私も、心配です。二人の事・・・。」
典子「明日のメンバーは全て、秀美に任そうよ。秀美なら、きっといい答えだすよ。」
幸子「典子、プレッシャーになっちゃうよ。私は、秀美のおかげで、戻ってこれたし、秀美の気持ちは、あの二人に届くよ。きっと。」
秀美「ありがとう。みんな。私に任せといて。」
秀美は、おもいきり胸を叩いた。
裕子「やっと、出た。秀美の{任しといて}この言葉を聞けば安心だよ。」
美紀「そうそう。」

グラウンドの片隅に立っている恵と美加。
それぞれ、二つずつ白い封筒を持っていた。
二人、グラウンドへ行こうとするが、どうしても足がすくんでしまう。
長松「なかなか、プライドが邪魔して行きづらいか?だったら、今日はいいけど、明日は、みんなの前、顔出せよ。松野は、絶対、お前らをメンバーに入れてくるぞ。」
長松、二人から、白い封筒を取り上げた。
恵・美加「あっ・・・。」
長松「サッカー部の退部届だけ出してこいよ。お前らのウチの退部届は、きっと松野が持ったままだよ。」
恵「何で、秀美は、そこまで私達の事・・・。」
二人は、長松を不思議そうに見つめた。
長松「そういう奴なんだよ。松野って。一度、信じた奴は、とことん信じる奴なんだよ。だから、いろいろ辛い思いもしてきてるんだろうから。その倍、人の事は、思えるんだよ。」
恵「秀美・・・ごめん。」
恵、涙を流す。
美加も恵をみて、涙ぐむ。

長松「お前ら、明日の試合、足だけは引っ張るんじゃねーぞ。今夜、少しでも走りこんどけよ。」
長松のでっぱた腹を見ながら、
恵「先生に言われたくないよ。」
恵、長松の腹をつついた。
美加は、自分のお腹をさすりながら笑っている。
長松「お前ら、馬鹿にしやがって。」
恵「顕微鏡ばかり、覗いてないで、たまには自分の体覗いたら。」
美加「たまには、練習出ろーい。」
二人は、笑って走って行った。
長松「明日は、絶対こいよ。」
長松、笑顔で二人を見送っている。

Y子高校グラウンド
Y女子高校は、毎年ベスト4の常連校。
Y女子高校には、地区NO1スラッガー・落合 博美がいる。
秀美の中学時代からの親友でライバルだった。
博美が、ベンチで指示を出す秀美に近付いて来た。
博美「秀美~。久しぶり~元気してた?」
博美がいきなり秀美に抱きついた。
いつもの事だが、今日は、さすがに恥ずかしかった。
他の部員達も驚いた様子で見ている。
博美は、中学時代からのクラスメート、帰国子女のせいか、本当に嬉しいときなど、抱きついてきてしまう。
秀美「(照れながら)う、うん。元気だよ。博美も頑張ってるみたいだね。たまに新聞載ってるの見てるよ。」
博美「あったり前じゃん。どんどん練習しないと秀美の重いボール打てないからね。絶対、今日は、秀美からホームラン打ってやるから。」
博美、バットを大きく振る素振りをした。
秀美「(笑顔を浮かべ、小さな声で)う、うん。打たせないよ。」
博美「どうしたの?もしかして、まさかあの二人来てないの。秀美とおもいっきり勝負できないじゃん。」
秀美「(すまなそうに)ご、ごめん。」
部員達、不思議そうな顔をして聞いている。
試合開始が近付き、メンバーが発表された。
レフトには、恵、ライトには、美加の名前があった。
長松は、辺りを見回している。
和代「何、キョロキョロしてるんですか?」
長松「い、いや何でも・・・。」
さらに辺りを見回す長松。
秀美「・・・・!」

グラウンドの脇
二つの影が、挙動不信のように動いている。

ベンチ(中)
長松、笑みを浮かべながら、席を立ち、ベンチを出ようとする。
典子「先生、どこ行くの?試合始まっちゃうよ。タバコなら後にしてよ。どうせ、寝てるだけなんでしょ?」
長松「(少しカチンときながら笑顔で)タバコじゃない。ウサギを二匹捕まえてくるんだ。」圭子「ウサギちゃんですか?かわいい?早く捕まえてきてください。」
長松「・・・・・。」
幸子「(笑顔で)秀美!」
秀美「(笑顔で)うん!」

秀美達の一回の攻撃は、あっという間に終わった。
長松が、恵と美加を連れて来た。
長松「ったくもー。お前達は、最後まで素直になれないんだな。世話かけやがって。でも、ありがとな。戻ってきてくれて。」
秀美が、二人にグラブと背番号のユニフォームを渡した。
秀美「お帰り。待ってたよ。信じてた。ありがとう。」
秀美の眼から白い粒が落ちた。
恵「ご、ごめんな。秀美の事誤解してた。ずっと、ソフト部に戻りたかったけど。つまらない意地張ってて。情けない。色々悪い事しちゃって。許してくれ。」
美加「ごめんね。私も。」
部員達、二人を取り囲んだ。
口々に{お帰り}を言っている。
長松「ほらほら、そのくらいにしないとあちらさんが待ってるぞ。」
Y女子高校ナインや数名の観客が秀美達を見ている。
博美、秀美にVサインを送っている。
秀美、博美に笑顔で返す。
秀美「先生、ありがとう。」
長松、何事もなかったように寝ている。
博美「(笑顔で)・・・・・。」
秀美達も活気が出てきた。
秀美が、気迫のこもった投球で5回まで、ノーヒットに抑えている。
博美、1打席目三球三振だった。
博美「さすがね。でも倒しがいがあるよ。秀美は、こうでなくっちゃ。」
打線は、相変わらず、秀美以外は打てていない。
しかし、今までのボールへの逃げの姿勢とは違い、みんな積極的に打ちにいっている。
惜しい当りも何回かあったが、相手の堅い守りに阻まれた。
今日は、なぜか、指示を出すわけではないが、長松が起きていて、必死にメモっていた。
和代「先生、寝てなくていいの?」
幸子「今さら、監督らしいことしようとしても、似合わないよ。」
恵「違う、違う。Y女子高の選手の美人ランキングしてるんだって。」
典子「うん。有り得る。有り得る。」
圭子「なーに?美人ランキングって?」
裕子「一人一人を美人度A~Cにランキングして一番の美人を選ぶの。」
美紀「そうそう。」
圭子「そんなことして何が楽しいの?先生。」
長松、無反応で秀美の打席を見ている。
典子「どうしたんだろう?」
恵「さあ?・・・らしくないよな。」

最終回の攻撃
秀美が二塁打を放った。
いやったー、行けー、行けー、回れー、回れー
ベンチが急に盛り上がった。
続いて、和代。
頑張れー、和代。
続けー、和代。
ベンチから声援が飛び交う。
和代は、懸命にバットを振ってボールを捕らえた。
内野の頭を越えたが、センターのファインプレーに阻まれた。
続いて、幸子も懸命にファールで粘ったが、三振。
続いて、恵。
恵・心の声「絶対、返してやるからな。秀美。待ってろよ。」
カキ―ン
初球の甘いストレートを捕らえた。
あわや、ホームランの当り。
ライトの博美が、ジャンプして捕った。
恵、その場にうずくまってしまった。
後ろから、秀美が「ありがとう。」と呟いて肩を叩いた。
典子「(グラブを恵に差出し)さあ、行こう。最後の守り。」
恵「おうっ。」
口々に恵を励まし、元気に守備につくナイン。
長松「この回を抑えれば、負けでは、なくて引き分けなんだぞ。さあ、行ってこい。」
恵、笑顔で頷き、守備へ向かって行った。

最終回・女子高の攻撃
ツーアウトまで、簡単に取った秀美。
みんな、強豪Y女子高との引き分け、さすがに緊張していた。
幸子・続けざまに典子・恵のエラーで満塁になってしまった。
内野陣が集まり話している。
秀美「みんな、ここまでよく頑張ってくれたね。嬉しいよ。私。ありがとう。幸子もエラーを気にしないで。私が、博美を抑えればいいんだから。」
秀美、博美を見つめている。
四番・博美、今日は、完全に抑えられている。
博美も気合が入っている。
ツーストライクと追い込まれている。
カキ―ン
ライトに飛んだ。
美加が、捕り損ねてこぼしてしまった。
三塁ランナーがホームを踏み、サヨナラ負け。
選手達、その場で座り込み泣き出した。
長松・観客・Y女子高ナインそれぞれ秀美達に拍手を送った。
毎回、一回戦負けの常連校が、強豪Y女子高を自らの力で苦しめた。
長松も部員達をみて涙せずには、いられなかった。
博美「次は、打つからねー。」
博美は、秀美に手を振った。
秀美も大きく手を博美に振り返した。

グラウンド(夜)
試合終了後のミーティング
部員達から活気が消えていた。
長松「みんな、本当に今日はよく頑張った。来月の本大会、このような試合が出来れば、いいとこまでいけると思う。また、これ以上に頑張れば優勝も夢ではないだろう。負けたのは仕方ない。本戦で取り返そう。」
みんな、小さい声で返事をした。

グラウンド(放課後・日替わり)
長松がユニフォームを着て姿を現した。
みんな、一様に驚いている。
典子「どうしたの?先生。白衣とユニフォーム間違えてないの?」
恵「そうだよ。先生、ソフトボールなんて出来るの?」
長松「(カチン・カチン)何ぬかす!俺に出来ないものはないんだ。今日から、練習は、俺が見る。覚悟しとけよ。(笑いながら)厳しい練習になるぞ。」
みんな、あまり信用してなかった。
秀美は、表情がこわばっていた。
ただ、いつもとは、長松の表情が違っていた。
ランニング。
「遅い、遅い。後、十周追加。」
キャッチボール。
誰かが、ボールを捕り損ねる度、罵声が飛ぶ。
長松「星村、何してんだ。やる気あんのか。」
ランニングやキャッチボールは、いつもの三倍以上の練習量。
秀美以外は、全員ぐったり、グラウンドに寝転がっている。

長松「いつまで休んでるの?ノックを始めるぞ。」
守備ごとに厳しいノックが続いた。

このような練習が数日間続いた。
しかし、全員、秀美への思い、チームへの思いを胸に秘め頑張り、必死にくらいついた。
しかし、なかなか上達しない部員達。

グラウンド(練習終了後・夜)
典子「先生、自分達、本当に上手くなれるのかな?次の試合勝てるのかな?試合が近付くにつれ、不安になってくるよ。これだけ、先生の厳しい練習うけてもうまくならないし・・・。」
和代「いくら、秀美が頑張っても私達がこれじゃあ・・・。」
秀美を除く部員達が長松に意見をぶつける。
長松「お前達が、そんな気持ちじゃあ、勝てないな。松野に申し訳ないって思うならそんな弱音を吐くな。あいつは、お前らが、チャンスで凡退したって、エラーしたって、一所懸命な姿が嬉しいんだ。そういう奴なんだよ。松野って。そんなお前達でなきゃ、あいつは、全力投球できないんだよ。お前ら、誰一人欠けてもな。お前らが、あいつにとって心が落ち着けるバックなんだよ。それに、自分が下手だからとか上手くならないとか自分を嫌ってたらうまくなるのも上手くならないぞ。もう少し、自分達のソフト、自分達のチームについて考えてみろ。」
みんな元気はなく落胆した様子だった。
長松は、溜息をつき、携帯電話を取り出した。

夏休み(一週間練習休み)
みな、それぞれの夏休みを過ごしている。

秀美・自宅(居間・昼)
ソフト部員が集まっている。
みんな、落胆してる様子であまり話しをしない。
秀美は、テレビに見入っている。
部員達は、漫画を読んだり、携帯電話をいじったりしている。
秀美「よーし。やった。やった。」
秀美の声につられみんな、テレビに目をやる。

北京五輪
日本代表の野球の決勝戦を戦っている。
9回表、ツーアウト満塁。
1対0、日本が負けている。
最後の攻撃。
みんな、祈るような気持ちになった。
次は、4番バッターだが、今日は3三振。
典子「駄目だな。代えないと・・・。」
恵「誰かいい代わりいるのかな?」
幸子「4番の代わりなんているわけないよね。」
美紀「そうそう。」
みな、首を横に振った。

監督が出て代打を告げている。
アナウンスの声を聞いて、みな耳を疑った。
アナウンス「・・・に代わりまして、バッター・長松」
スタンドが沸きあがる。
みんな、顔を見合わせる。
秀美は、両手を合わせている。
まぎれもない顧問教諭・長松の姿があった。
長松、ツーストライクと追い込まれた。
美加「先生、頑張れ。」
圭子「打ってください。」
恵「打たねーと承知しねーぞ。」
美紀「そうそう。」
みんないつしか応援を始めていた

長松、3球目をフルスイング。
高く打球が上がっていく。
ライトスタンドへ入った。
あっという間の出来事だった。
長松がグラウンドを周っている。
ホームを踏みガッツポーズ。
みんなが長松をモミクチャにしている。

日本・金メダルのテロップが流れる。
イメージにあった音楽が流れる。

長松コールがいつまでも響いている。

秀美・自宅(居間)
秀美、感極まり泣いている。
他のみんなももらい泣きしている。
みんな、それぞれ、いままでの長松を思い浮かべている。
白衣姿の長松。
顕微鏡を覗く長松。
試合で寝ている長松。
厳しい指導の長松。
一人一人の部員思いの長松。
それぞれ想像する長松。
でも、まぎれもなく今の長松は、日本の英雄だ。
みんな、涙を流す。
その時、恵が口を開く。
恵「そういえば、何で、長松、あんな厳しくなったんだろう?いつもなら、何があっても、何も気にしなかったのも、前の上級生が辞めたときも。でも、秀美は、何かしってたような気がする。そういえば、長松の指導初日、秀美だけ、表情こわばってたし、それに今日、みんな集めたわけも何かあるんだろう?」
みんな、秀美に視線を送る。
秀美「うん。みんなにだまっててごめん。長松先生って、元プロ野球の選手だったの。」
みんな、驚き一様に声をあげる。
秀美「鳴り物入りで入団したんだけど、怪我で故障続きで、うまくいかず、たった、三年でクビになったんだって。それを知った校長先生が教員免許を持ってた長松先生を採用したらしいの。野球部は、ないけどソフトボール部だけどって。しばらくは、マスコミからたたかれたり、部員達からよく思われてなかったらしいの。長松は、プロに入ってから、練習はしないで、大金はたいて遊んでて喧嘩で怪我したって。もちろん、それは、嘘だけど、誰かが、噂をおもしろおかしく流したらしいんだけど・・・。」
みんな、驚いて聞いている。
秀美「始めは、熱心に指導してたらしいんだけど、部員が言うこと聞かなかったらしくて。それから、スパルタ練習が始まったらしいの。本人も気づかないうちに。それが、嫌で私達の上級生が集団退部したらしいの。先生、動かなかったんじゃなくて、動けなかったの。その事件の前に先生は、私を熱心にスカウトしてくれたんだ。でも、その事件があって練習に出れなくなってかなり落ち込んでた。もし、もう一回誰の力も借りないで私がチームを作り上げたらもう一度、指導してくれるって約束したんだ。でも、オリンピックに復帰して、みんなに俺の勝利への執念みせてやるって、電話があったとき驚いたよ。本当に有言実行しちゃった。みんなも日本の英雄に認められたんだよ。自信もって。でも、いろいろ今回のことでは、助けられちゃったな。」
みんな、しばらく黙っていた。

典子「練習行こうよ。」
恵「そうだな。自主練やろうよ。」
みんな、立ち上がり練習へ向かう。

グラウンド(午後)
予選へ向け気合が入った練習が始まった。
数日間、練習が続いた。

試合前日
グラウンド(放課後)
みな、長松の厳しい練習についていけるようになった。
ノックもある程度こなせるようになった。
明らかにみんなの顔付きが変わっていた。

試合当日
1回戦、何の因果かY女子高が相手。
この日は、秀美と博美、挨拶を交わさなかった。
校長や他の部の生徒が大勢詰め掛けている。
みんな、廃部のことは気にならなくなっていた。

試合は、接戦になっている。
秀美のホームランや幸子・恵の人生初のタイムリーが出て3点を取っている。
守備では、典子や美加のファインプレーで10安打打たれながら、3点に抑えている。
今日の、秀美は少し体調が悪いらしい。
みんな、そのことを感じ必死で守っている。

最終回のY女子高の攻撃
博美をノーヒットに抑えていたが、体調が原因かボールが甘く行ってしまい、芯で捕らえられてしまった。
美加と典子がおもいきりジャンプしたが、届かない。
勝ち越されてしまった。

最終回・攻撃
秀美と典子が出塁。
幸子と圭子が凡退。
バッターは、恵。
ツーアウト2,3塁。
今までの秀美との思い出が込み上げて来る。
秀美との出会い。
秀美との確執。
秀美の涙。
秀美の優しさ。
恵、自然と涙が出てきた。
恵、秀美の顔を見た。
秀美、恵を見て笑顔で頷く。
校長や他の部員達の応援にも気合が入っていた。
哲子やサッカー部員も大声を出している。
長松、部員達祈るような気持ちで戦況を見つめている。
カウントは、ツースリー。
最後の一球を投げた。
恵のバットに当たった。
ライトへ大きく上がった。
入るか?
かなり大きい。
ライト・博美が大ジャンプ。
フェンスぎりぎりで捕った。
ゲームセット。
恵、その場に座りこみ涙を流す。
部員達、恵に駆け寄る。
観客から大拍手が起こる。
博美「来年も絶対続けてよね。次は、絶対打つから。それか、ウチに来る?」
秀美「私は、ここで続けるよ。絶対、来年も出るから。」
二人は、握手を交わした。

学校・部室(放課後)
秀美「校長先生に言いに行こう。これだけやったんだからわかってくれるよ。」
典子「そうだ。行こう。みんな、言えるだけのことは、やったし、自信もって行こうよ。」
みんな口々に賛成した。

校長室前の廊下
いろいろな部のトロフィーが並んでいる。
和代「今度、私達も飾りたいね。」
秀美「飾れるよ。絶対に。」

校長室
秀美「さあ、行こう。」
秀美、ドアをノックしようとすると、扉が開いた。
校長「おっ、何だ?ソフトボール部のみんなじゃないか。今、君達のところへ昨日の試合のお礼に行こうと思ってたんだ。ささっ、みな入ってくれ。」
秀美「お礼?」
みんな、驚いた顔で顔を見合わせる。
校長「廃部?そんなことしらんぞ。さっきもサッカー部の三浦さんが来て、廃部にするのは、考えなおしてくれって言ってたな。」
恵・秀美「哲子が・・・。」
校長「廃部にするわけないだろう。何のために長松先生にきてもらったかわからないじゃないか。もしかして、長松先生のジョークかもしれんな。そろそろ、練習を指導したくなったんじゃないかの。ほほっ。」
みんな、呆気にとられ長松のもとへ向かった。

理科室(中)
長松が相変わらず顕微鏡を覗いている。
秀美「先生、廃部は、嘘だったんですか?何でそんな嘘を。」
長松「いや、みんなにやる気を持ってもらいたかったからさ。お前ら、真面目だし、練習量も多いし、ただ、どうしようもなく下手だった。だから、いてもたってもいられなかった。許してくれ。」
みんな、長松に抱きついた。
長松「うわー、やめろ。松野、胸が当たってる。」
秀美「やっ、やだー。スケベ。」
長松の頬を叩く。
顕微鏡が倒れかかる。
典子が押さえる。
典子「何をいつも覗いてるんだろう?先生、こんなもの楽しいの?ん?」
長松「や、やめろ。」
長松、慌てふためく。
恵「どうした?典子。」
恵、長松を押さえる。
典子、恵を手招きする。
恵「うー。こ、これは、このスケベ。」
部員達の下着姿があった。
部員達、今度は、長松を下着姿にした。
圭子、更衣室からカメラを取ってきて写真を撮った。
秀美「今回の事は、見逃すけど、来年、私達を優勝させないと、校長先生に言うからね。」
みんな、口々に囃し立てる。

ソフトボール部グラウンド
活気よく練習が始まっている。
来年へ向けての練習が映しだされる。
ソフトボール部全員「私達、弱くなんかない。」
長松「君達は、弱くなんかない。」
場面にあった音楽が流れる。
END


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